どーして!?どーしてどーしてこんなにも、「ラ・フェロヌリー」って美味しいのよ!?ああもう!美味しいったら、美味しい!!!
トゥールーズから遊びに来たマリ・ノエルと、1時半を周ってお昼ご飯たけなわな時間に「ラ・フェロヌリー」に到着。お腹を空かせたたくさんのお客様達の間をクルクルと走り回るパトリックが「やあ、いらっしゃい!10分くらいで空くと思うよ」と奥からウインク。「ダコー!」
黒板に書かれた今日のお料理達を眺めながらテーブルが空くのを待つ。
あ、これ!絶対今日はこれがいい!!あっという間に今日のお昼ご飯が決定。はやくテーブル、空かないかなー。お腹空いちゃたなー。カウンターでカフェを飲んでいた叔父さま方と、待ちながらちょっとおしゃべり。このレストランに来る人たちは、みーんなパトリックのお友達だから、客同士が知合いじゃなくても「パトリックの知合いだから」、みたいな感じで、何となくみんな仲良しなんだよね。常連さんだから、お互い何回か顔を合わせたりもしているし。
一人の叔父さま(というよりはもう、おじいさま)の携帯が鳴って、叔父さまは外に。もう一人の叔父さまがウインクしながら、
「彼のアマン(愛人)からだよ。あいつももう年寄りだけど、ま、そうは言ってもね!」さすがはフランスだ。
待つこと20分弱。ようやくテーブルが空いて、嬉々として席に就く。きっと今日も美味しいんだろうなー。ワクワクワクワク。
まずはお気に入りの「ジャンボン・ペルシ」。あいも変わらずまあ、ハムのコク、パセリの薫り高さ、ジュレの部分の味の良さ、と、文句の付けようのない美味しさ。「ンーン、、」と、テーブルの向こうでマリ・ノエルが唸ってる。
続いて、今日のメイン「カネット・オ・ミエル(小鴨のハチミツ風味)」が運ばれてくる。なーんていい匂い!甘く香ばしいミエルの濃厚な香りが鼻をくすぐる。ガルニはジャガイモのオーヴン焼き。ピュレにして、って頼んでおけばよかったなあ。ミエルのソースにピュレが絡まって絶品になっただろうに、、、なんて考えながら、サワークリームをジャガイモに付けているうちに、先にカネットの味見をしていたマリ・ノエルがまた唸る。
「ンンーン!ケ・ス・ク・セ・ボン!(なんて美味しいの!)」
「え、美味しいの?美味しいの?」と、慌ててカネットを切って口に入れる。
「んーーーーーーーーーーーん!」美味しいよ!美味しいよ、これ!甘いソースに目がない私には特に、こたえられない料理だ。逞しい味のカネットちゃんに絡み付いた、トロリとしたミエルのソース、絶品。
「これ、どうやって作るの?」とマリ・ノエル。
「知らないよ。知る訳ないじゃん。大体、聞いたって私たちには同じ物作れないよ、きっと」
「そうだよねえ」と溜息。やっぱりフランス料理はソースだ。素材のよさが主のイタリア料理とは訳が違う。このソースがフランスの文化だね。と、フランス文化談義に熱が入る。
初めて来た時に食べた「ポ・ト・フ」には目からウロコが落ちた。次に食べた「鴨のマグレ、モモ添え」には溜息が出たし、「ブーダン」を食べた時には、幸せに喉をゴロゴロ鳴らした。「クルジェットとトマトのファルシ」はいまいちだったけれど、「カネットのカブソース」には唸り声を発し、「アニョーのジャガイモ煮込み」には、これ以上のものはない、と思った。で、際めつけに今日の「カネット、ハチミツ風味」。本当にここのシェフには敬服いたします。
デセールは「パルフェ・グラッセ・オ・カフェ」を半分こ。この冷たいコーヒーのアイスクリームの名前を上手く発音できなくって、「何?もっときちんと言って」とパトリックに詰め寄られる。大体、パトリックという名前の人は意地悪なんだよ、みんな。優しいマリ・ノエルが、「そうね、確かにちょっと難しいわよね、これ」とフォローを入れてくれる。ありがと、マリ・ノエル。やっぱり南の人は優しいね。
すっかり満喫して、席を立つ。
「美味しかったー。シェフにどうぞよろしくね、パトリック」
「ダコー。楽しい午後をね!」ウインクしながらビズー。
近くの雑貨屋さんを覗いて、「ボン・マルシェ」でたっぷりソルドを見て、近くのカフェでお茶を飲んで、久しぶりに会ったマリ・ノエルと楽しい午後を過ごす。
mer.30 juin 1999