「レ・パピーユ」は、もともと有名なワインカーブだった。特にナチュラルワインが評判の。オーナーが代わってワインカーブ&エピスリーつきのプチレストランに変身したのは1年くらい前だったかな。あーっという間に、超人気のカジュアルレストランになってしまった。春先にオーナーと友達、という知り合いと一緒にちょっとだけ寄ってこんにちは!をしていたけど、食べに行く機会がずっとなかった。「なに?まだ行ってないの?そんなバカな。じゃあ来週予約を入れるよ」とフットワークのよい食べ友達に連れられ、今年最初の春らしい陽気の昼下がり、リュクサンブール公園を散歩しながら「レ・パピーユ」に赴く。
昼夜いつも満席状態のレストランなのだけれど、今年最初のいいお天気のお昼は、さすがにテーブルが1〜2個あいている。そりゃそうだ。こんなポカポカお天気、みんなリュクサンブールで日向ぼっこしながらサンドウィッチかじるか、カフェのテラスでサラダをつつくよね。でも私たちは違う。ガッチリたっぷりした料理を堪能すべく、テーブルにしっかり腰を落ち着ける。
ま、駆けつけの一杯に!と出されたのは、キリリと冷えたショーモンのワイン。もちろん、ナチュラル。ナチュラルワインの、どこか土臭いプリミティヴな味が私は好きだ。塩気と脂が完璧なバイヨンヌの生ハムをつまみに、おしゃべりに花を咲かせる。
イヴ・カンデボルド(パリのビストロ界の王様)の弟だか兄だかが作る、しっとり甘くふくよかな豚のパテの厚切り3枚を嬉々としてたいらげる。友達のアーティチョークのポタージュを味見して、そのとんでもないおいしさに狂喜する。
牛テールをこっくり煮込んだものを使ったアッシパルマンティエ(上にマッシュポテトを乗せたもの)に感心しつつも、テーブルの向かい側にやってきた鴨マグレのロティに超早なりの新ジャガを添えた料理に心奪われ、ジャガイモのほとんどを奪ってみる。あ〜、ジャガイモのおいしさったら、もう!!!新鮮なパセリのアクセントがまたたまらないっ!薦め上手の友達の手にまんまと引っかかり、大量のハムとパテ、少々のポタージュ、たっぷりのアッシ、鴨1切れを引き受けた胃には、さすがに残り全てのミニミニ新ジャガを詰め込むのは無理だった。泣く泣くジャガイモを残し、でもおやつはちゃんといただく。カフェとショコラのクリームをしっかり食べて、パイナップルとキャラメルのカプチーノし立てももちろん味見。
実はここ、オーナーシェフは、「タイユヴァン」の元シェフパティシエなのです。おっきくてがっちりしてるベルトランは、全然パティシエに見えない。ラガーマン、100歩譲って、カンデボルド系のビストロ料理人。「タイユヴァン」でどんなデセールをつくっていたのか、想像つかないよ(笑)。この店のおやつは、どれも至ってシンプルで、おいしいはおいしいけれど、「タイユヴァン」を感じさせるものではない。
料理を作っているのは、女の子の料理人さんで、とても優秀なのだけれど、残念ながら、近い将来ここを辞めて、彼と一緒にアンジェで店を開くのだそうだ。彼女がいなくなったあと、料理の味がどうなるのかちょっぴり不安だけど、ま、きっとうまくいくでしょう。とりあえずは、彼女がいる間にもう一回くらいは来ておきたいね。
素朴で肩肘張らないたっぷりとした、そしてすばらしくおいしい料理。どれもこれもが、まさに私好みの味で、お腹も気分も大いに満足。すっかりゴキゲンになって春爛漫!といった感のある街を歩くのでした。
あんなに食べて、もうこれ以上はレンズマメ一粒も入らない!という状態のはずだったのに、15分後、「ダ・ローザ」で、“新作のリ・オ・レ。ピエール(エルメ)のレシピの。味見して!”と出されたリ・オ・レをしっかり食べてしまう自分がかなり怖かった、、、、。
mer.16 mars 2005