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グルマン・ピュスのレストランつれづれ


「ショコラ講習会」

「ショコラ講習会?今日はありませんよ」つめたーい声で、こう言われたのは、1月12日。

「ちょ、ちょっと待ってください。だって私、2日前にここに来て、担当者と話してじゃあ明後日ですね、って確認してるんですよ!?」
「ア・ボン?でもね、ないです、とにかく今夜は。講義をする人も来てないし。担当者が勘違いしたんでしょう」

ひっさしぶりに、これだからフランスはイヤ!!!の典型を味わった。老舗のサロン・ドゥ・テ「ラデュレ」のシャン・ゼリゼ店で、去年の10月から、毎週水曜日の夜に、ショコラ講習会が開かれている。面白そうだね、と、電話で予約をし、小切手を届け部屋の下見までしたと言うのに、この有り様。おまけに、僕のせいじゃないもーん、とばかりに知らんふり。

これだから、「ラデュレ」シャン・ゼリゼ店は嫌い。お菓子を買うだけならいいのだけれど、ここでお茶をするのは大嫌い。最後に来た時には、開いた口がふさがらないようなひどいセルヴィスだったのに、またこの日も、それに勝るとも劣らないすごい対応をしてくれる。本店がいいなあ、「ラデュレ」はやっぱり。

そんなこんなで、数週間。人が集まらずなかなか開けなかった講習会が、やっと今夜、開催かれる。
「本当にあるのかな?昨日、確認したとはいえ、やっぱりちょっと不安だわ。もしなかったら、今度こそキレてみようか?」
なーんて、みなこさんと話しながら、「ラデュレ」の案内へ。
「あの、ショコラ講習会に来たんですけど、、、」
「ああ、はい。ちょっとそちらでお待ちくださいね。用意が出来たらお呼びしますので」おおっ!今夜は間違いなくありそうだ。よかったよかった。

Laduree1階奥の小さな個室が講習会の会場。並べられたテーブルには、ショコラが入ったお皿やグラス、カトラリーが並べられている。小柄な女性が今夜の先生。参加者は全部で7人。女性3人は私たち日本人。M子さんといっしょにお菓子の勉強をしていた叔母さまと私たち。男性4人は、フランス人の叔父さま3人に若者1人。

ショコラの歴史を簡単にひもといた後、自己紹介。フランス人男性4人はみんな、ショコラとは何も関係のない職業の方々。ただたんに、ショコラが大好きだから参加しました。すごいよね、フランス人のショコラに対する愛着って。

Laduree歴史に引き続き、各種ショコラのデギュスタシオン。味だけでなく、見て聞いて触って嗅いで、五感を駆使してちゃんと分析。うーん、難しいぞお。ショコラのデギュスタシオンって。しどろもどろの日本人3人と対照的に、叔父さま方4人は、ビシッと分析。こちらは、ヴァニラの香り、草っぽい味もしますね。こっちの方が酸味が強いです。後味は、こちらの方がすぐに消えます。云々、、。すごいな、みんな。ワインと同じなんだね、ショコラのデギュスタシオンも。

どうやってショコラが出来るかを、その過程過程の状態を確認しながら、説明。なるほどね、これが、カカオバターと言うものか。ほうほう、確かにこの段階では、何の味もないんだね。勉強になります。

1時間半ちょっとの講習会は、あっという間におしまい。みんな名残おしそうに、残ったショコラを口に放り込んで、おみやげのショコラのパケ(箱)と資料を持って、会場を後にする。

ふうむ、ショコラの世界も奥が深いね。ワインと同じように、これからはショコラに対しても接してみよう。今までとは違う味がするかもしれない。


mer.2 fev.2000



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