今日、誰とおしゃべりしたか知ってる?アニエスとジョゼだよ!
今日、誰とおしゃべりしてビズーしたか、知ってる?マリ−アニエスとエマニュエルだよっ!
バレエ生活における、一つの頂点。そんな夜だった。「ノートルダム・ドゥ・パリ」も終わって、月末に愛しいダンサーが踊る「ジゼル」まで、何にもなくってつまらなーい、と思っていたところにかかってきた電話。「明日の夜、AROP賞の授賞式があるんだけど、一緒に行かない?」持つべきものは、オペラ座に縁故のある友達だ。喜び勇んで返事して、トゥニュ・カクテル(カクテル用装)と印された招待状に忠実に、きちんとしたドレス着て気合入れて化粧して、心躍らせながらガルニエへ赴く。
ロイヤル・バレエにおける「フレンズ」みたいな組織なのだろうか、オペラ座を公演しているAROPは、毎年若手ダンサーにプリ・アロップを贈っている。過去の受賞者を見ると、ルグリ、カデールにピエトラから、ヤンちゃん、ファボランやクルタン、エレオノーラまで、今注目のダンサーの名前がズラリ。そんなプリ・アロップに、今年はファニー・フィアちゃんとエマニュエル・チボーが選ばれた。その受賞セレモニーが、今夜、ガルニエの地下ホールで行われる。
赤毛がチャーミングなファニー、おっきな目が愛らしいエマニュエル。どちらも大好きなスジェの受賞に立ち会えて、こんなに嬉しいことはない。スピーチで、「これを機に、もっと役がもらえるといいのだけれど」と、ブリジット・ディレクトリスを前にそれぞれが語った言葉が、しゃれにならない重みを持って、会場から意味ありげな笑いと拍手を誘う。
誰がどう見たって、「ひいき」という言葉を使うしかないくらいに、配役について問題だらけの昨今のオペラ座。「ノートルダム〜」のミュリの招聘に続き、年末の「ラ・バヤデール」にもキーロフとボリショイからトップ・ダンサーを呼ぶらしく、ディレクションは、ダンサーと観客からのひんしゅくをかいまくっている。ま、それがパリ国立オペラ座の現体制だから仕方ない。ブリジットさんが辞めるまで、この「ひいきごっこ」は続くんだろう。さて、それは置いておいて、ダンサーがうじゃうじゃやってきた、このすてきな授賞式とそれに続くカクテルを楽しみましょう。
かわいいヤンちゃんに、ヤンキー・ヤン、二人のヤンの姿も見える。かわいいヤンちゃん、ほんっとにほれぼれするくらいに美しい。この顔、この体、この可愛がられ方、この愛敬をもってもいまだスジェなのは、やっぱりひとえに本人の努力が足りない、としか言いようがないよなあ。目が釘付けになっちゃうよ。
怪我がいつまでも治らず、「ジゼル」も棒に振ってしまい、年明けの再起も危ぶまれているニコラと、髪をばっさり切ってプティに媚を売ったらしい奥さん。どこから見ても、頭一つ飛び出しているのですぐにそれと分かる、アニエスとジョゼのビックなゴージャスカップル。デュケンヌにファヴォランに、ああ、マリ−アニエスもいるよ。
「真夏〜」で最高の笑いを見せてくれたオーレリアンくんをはじめ、若手ダンサーたちもズラリ。めずらしくちゃんとした格好しちゃって、みんな素敵なんだ。(あ、ニコラとヤン・ブリダールは抜かしてね。あの服装はないでしょう、、、、。)
どっちを向いても、ダンサーか批評家かディレクションか、という、そうそうたる顔ぶれの集うカクテル。賞の候補に挙がっていたアレッシオくんの姿が見えなかったのが残念だけれど、かわいいヤンちゃんがおくればせながら来てくれたからよしとしよう。
ジョゼもアニエスも、マリ−アニエスもエマニュエルも、みんなとてもサンパで優しい。ミテキちゃんとジルさん以外はじめての、大好きなダンサーたちと言葉を交わす幸せと興奮に、シャンパーニュの酔いが気持ちよく回ってくる。ダンサーたちが語ってくれる本音や事実を楽しく聞きながら、思いがけずに降ってわいてきた幸せな夜を堪能する。
lun.15 oct.2001(01年10月)