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パリ国立オペラ座に、新エトワール(星)が誕生

パリ国立オペラ座に、新エトワールが誕生した

見に行かなかった今夜の公演。さっきそのニュースを聞いた時には、冗談かと思った。

レテティア・ピュジョル。

本来なら、オスタとペッシュが踊るはずの夜、オスタが怪我して代理で踊ったレテティアが、なんとエトワールにノミネ(任命)されたのだ。

いや、大好き、レテティア。テクニックも顔の表情も。でもでもでも!びっくりだあ〜、まさか彼女が今時点でノミネされるとは思わなかった。

ディレクションからあまり可愛がられていない、ともっぱらの評判だったし、プルミエールのなかでの存在感もイマイチ薄い。(っていうか、躍らせてもらえないので舞台に出てこない、ということか?)今シーズンなんて、なにか踊ったっけ?「ノートルダム〜」と「ジゼル」はもとより、「放蕩息子」も「7つの滞在」も踊っていないし、年末の「ラ・バヤデール」ではガムザッティを少々。「ロシアの夕べ」の「牧神〜」(ロビンス)なんて、ぎりぎりになって外されてしまったし、その後は?「クラヴィゴ」?ううん。「ル・パルク」?いいや。ああ、3月の「ユールヴァン」でキャサリンを第二ディストリビューションで踊った。すてきだったね、これは。それだけだよ、たったそれだけ。

「ドン・キショット」では、前半、かわいらしいキュピドンを踊ってくれたけれど、本来ならキトリはたった一度だけしか躍らせてもらえないはずだった。それが、オスタの怪我のおかげで今夜も踊る事になり、その代役の夜になんとまあ、バンジャマンの横でエトワールになってしまった。

個人的には、とても好きなダンサー。プルミエールの中では、マリ−アニエスちゃんに次いでお気に入りだけれど、まさか、マリ−アニエスちゃんに先んじてエトワールになるとは、私はもちろん誰もが思ってもいなかった衝撃。まあ、本来なら、マリ−アニエスの後、マニュエルと踊る来週に、ノミネされる予定だった、ということだよね?

これでもし、土曜日にマリ−アニエスちゃんノミネされるのならば、まあ誰も文句は言わないだろう。びっくりはするだろうけれど、非難はしない。でも、もしも万が一、なにかの拍子でマリ−アニエスちゃんがノミネされなかったら、、、?目も当てられないような、大スキャンダルにオペラ座は巻き込まれてしまうだろう。レテティアはいいとばっちりを受けちゃう、かわいそうに。

見に行けなくて残念。オスタの予定だったのでまあいいや、と思っていたのに、レテティア/バンジャマンなら見たかったんだよねえ。

話によると、今夜のレテティアはカスタネットのヴァリアシオンは見事だったものの、それ以外はとりたてて、、、という感じだったらしい。「エトワールを任命するならレテティアよりもバンジャマンでしょう、今夜の舞台は」という声もちらちら。ま、男性エトワールは枠、空いてないからねえ。

いやあ、それにしてもびっくりだ。嬉しいよ、とても。レテティア好きの私としては。まあ、言ってみれば、大穴馬券?彼女がこの時期にエトワールになるなんて、誰が予想していたかしらね、、、。

さて、いよいよ次はマリ−アニエスちゃんの番ですね。彼女が土曜日にエトワールになれば、予定ではマリ−アニエスちゃんをまず上げて、数日後にレテティアだったんだ、と、みながそれなりに納得するエトワール誕生ストーリーになるだろう。それが怪我人発生で予定が狂い、まずはレテティア。とても嬉しい、本当に。これでマリ−アニエスもノミネされれば、嬉しさ3倍。

でももしも、もしもだよ。マリ−アニエスがなれなかったら、、、。すでに、「ノートルダム〜」と「ラ・バヤデール」でエトワールにさせずにスキャンダルを巻き起こしているオペラ座、今度こそ大きな非難があちらこちらから上がるのは必死だろう。そんなスキャンダルにレテティアが巻き込まれないことを祈るよ、ほんと。

レテティア・ピュジョルは、大好きなダンサーだ。みんなが(おそらく本人も)びっくりしたエトワール誕生に、こころからのおめでとう!

(02年5月)
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