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「パキータ」第二シリーズ。アニエスに感動、レティティアに興奮

「パキータ」の第二シリーズ。12月に比べると、笑ってしまうほどラクチンにチケットが取れる。12月に無理しなくてよかったよ。夜毎、至近距離でダンサーたちを堪能。

Pakitaって言っても、堪能したくなかった23日。傲慢にも、生まれてはじめて思ったね。1列目の席なんて、別に欲しくはなかったよ、、、って。オスタ&カールという、お金をもらったって見たくないような配役。ほんとは、バールが踊るはずだった。バールだって、ろくなものじゃないけれど、カールに比べればまだ耐えられる。役自体、ろくでもないものだし。不幸中の大不幸だ。カールが踊ると聞いてもなおオペラ座を出なかったのは、ひとえに、ヤンヤンのイニゴとアレッシオのパ・ドゥ・トロワを見たかったら。もういい、今日の主役は見ないことにしよう。ヤンヤンとアレッシオのみを楽しみに、、、、。

アレッシオ、よいね〜。今夜が彼のパ・ドゥ・トロワデビュー。そりゃまあ、エマニュエルの鳥肌が立つようなジャンプにはちょっぴり負けるけど、さわやかに愛らしく丁寧に踊る。プルミエ・ダンスールとして問題ない実力だ。あーあ、もう終わっちゃったよ。この役、たった10分しか舞台に出ないので、欲求不満がたまる。カーテンコールにも出ないしさ。きっと、10分だけ踊って、さっさと帰っちゃうんだろうな。またねー、アレッシオ。

Pakitaヤンヤンのイニゴは12月と変わりなく。相変わらず適当に、おかしくて楽しい演技。顔を見ているだけで満足♪主役の二人に関してはもう、、、。数日前のパスポート(公開レッスン、みたいなもの)も、この二人がやった。カールのできの悪さに、ロラン・イレール先生が四苦八苦していたけれど、あの時注意されたことが全然生かされたないよぉ。カール、なにを聞いてたの?パパとママも見に来ていて、パパなんてビデオ撮ってたじゃない!カール、ビデオ見て、少しは研究しなよ。オスタには、あまり指導をしなかったロラン先生。オスタ、怖いもんねー、指導なんてしたらギロリと睨まれた上に、あとでニコラに殴られそうだ(笑)。指に、おっきなダイヤモンドをはめてるオスタ。きっとエトワールになったおゆわいなんだろうね。

そんなこんなパスポートを経た上での二人の踊りは、見てらんない。オスタの、こましゃくれてすばしこいだけの動きは、情緒も品も感じられなく、ただただブンブン踊ってる、という感じだし、カールにいたっては、もう一度学校に通いなさい、と肩をたたきたくなるような技術。ジョゼのイメージが残っていて、それと比べたら確かに酷だけれど、間違いとはいえ一応プルミエなんだしさあ。もうちょっと、なんとかしようよ。近いだけに、余計絶望的。

コールの子たちは、別にどうでもいいかな。「シルヴィア」で美しい子たちを見たあとだけに、特に男の子たちには気がめいるけど、女の子たちはきれいに踊ってる。衣装もいいしね、それなりに楽しい。キャロリン・バンスちゃんのニコニコ笑顔がお気に入り♪

27日、29日は、アニエスとジョゼという、完璧カップルを存分に楽しむ。

Pakitaイニゴはカール。この役でなら、カールを見るの、平気だ。ヤンヤンよりもいいんじゃない、と思えるくらい。適材適所だよ。カールには、まだまだ主役は無理なんだって。アニエス&ジョゼは、12月の感動再び!とまでは、残念ながらいかなかったけれど、それでも十分に感動的。今回はテレビ撮影が入っているので、慎重に、100%にちょっとだけ欠ける実力で臨んでいるんだろう。失敗しちゃったら大変だしね。

それにしても、アニエスは最高のパキータだ。オレリーとマリ−アニエスという、巷の評判トップの二人のパキータを見ていないのでなんだけど、少なくとも、オスタとレティティアと比べた場合、アニエスが群を抜いて素敵な役作り。しっかり上品、適度におきゃん、全体的にキッチュな雰囲気が漂っていて、なんとも心引かれる。技術についても言うことないけど、この顔の表情ったら、、、。アニエスのパキータこそ、毎晩最前列で見たい。たまらなくステキだ。キトリとかパキータとか、茶目っ気がある役、合ってるよね。オデットみたいにシリアスすぎるのは、アニエスのコケティッシュな魅力を楽しめない。

ジョゼのルシアンもいいよ。とっぽい王子様、という感じで、ファンタジーの魅力たっぷりだし、技術の高さにはうっとりうっとりうっとり、、、、。あの細い体で素晴らしい技術を繰り広げられると、彼の美しさに息を呑む。立派なダンサーです。そして、パ・ドゥ・トロワのエマニュエルが極上!これまた、12月のほうが気合入っていたけれど、十分十分。テレビの画面に、この迫力が伝わるかなあ。放映されるのを楽しみにしよう。

毎夜のことながら、ミテキちゃんとミュリエル・ズッペルギーのデュオがすごくいい。どうしてこんなにシンクロできるの?他のデュオに比べ、抜群のでき。あらゆる動きが完璧に近くシンクロして、見ているほうはびっくりしちゃう。仲よしなのかな?二人とも好きなダンサーよ。

そして29日のレティティア&マニュエルで、「パキータ」を締めくくる。

24日に、彼らの初日を見た限りでは、まあまあの出来だった。マニュは技術も演技もOKとはいえ、どう見たってとうが立ってる。レティティアは、まるで小学生の学芸会を見ているような、お子ちゃま演技で笑みを誘う。レティティア最大の見せ場のフエッテも、トリプルを一回挟んだだけで、彼女本来の実力とは程遠い出来。だったのが、29日はすごいすごい。席もよかったのだろうけれど、24日に比べ、数段よくなった二人の踊り。こんなにいいんだったら、25日も来ればよかったなあ、とちょっと後悔。

マニュは、やっぱりマニュの匂いがちょっと強すぎて、「シルヴィア」が懐かしい。技術とか見た目の美しさを考えると、やっぱりジョゼのほうがいいしねー。でも、よいんじゃない?別に文句はない。カールやジャン−ギーを見た夜に比べれば天国。

Pakitaそしてレティティアがいいんだよね。よいパートナー(マニュ)に育てられたあとが伺える。演技はまだまだベイビー的で大げさだけど、可愛らしいね、と頷ける範囲。そして2幕の、技術技術のオンパーレードの、パ・ドゥ・ドゥ、ヴァリアシオンのすごさときたら!体中が熱くなる。ほんっとにレティティアの技術ってすごい!あきれちゃうくらい。バレエじゃなくて、なにか別の競技を見ている気になっちゃうよ。フエッテには、3回もトリプルを挟み、会場中を狂喜させた。3回だよ、3回!

Pakitaそもそも、トリプルが出来るダンサーは、パリにはレティティアしかいないよね?見たことない。アニエスは3〜4回に1度ずつドゥブルを挟む。「ドン・キショット」で覚えている限り、オレリーやマリ−アニエスも同様。4回に1回の割合で彼女たちのキトリはドゥブルを入れた。オスタ?ドゥブルすら、一度も入れない、あくびフエッテ。デルフィヌの白鳥も同様。そこに来て、トリプルを入れるだけでもすごいのに、3回もやられちゃう日には、もう頭クラクラ心臓バクバク。「レティティア〜!」と叫びたい衝動に駆られる。いやあ、迫力満点。レティティアの技術炸裂!という感じの興奮の夜。終わって客席を出たところで、セバスチャンに遭遇。レティティアへの興奮と感動を交わして、私の「パキータ」が終わりを告げる。

オレリー、マリ−アニエス、バンバン、ジェレミーという、楽しみにしていたダンサーたちがみんな怪我して見られなかったのが残念だけれど、ジョゼとアニエス、とくにアニエスのパキータを見られた幸せは、かけがえのないものだったね。作品自体、別に大したものではないけれど、衣装とダンサーの素晴らしさで、十分に楽しませてもらいました。

23,24,27,29,30 jan. 2003(03年1月)
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