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グルマン・ピュスのレストラン紀行


Alcazar(アルカザール)

ひっさしぶりの「アルカザール」。
思えば11月のオープン時に一度行ったきりで、ずっと行きそこなっていた。結構気に入っていたし、行こう行こうとは思っていたのに、機会をつかめなかった。自称「アルカザール」支援者の私としては、不徳のいたすかぎりだ。

とうとう一昨日、「マチュ・ピチュ」でのご飯の後、飲みなおしにここのバーを訪れた。すっかり雰囲気も落ち着き、アングロ・サクソン系の人々が嬉しそうに寛いでいる。お客さんも入りもいい。ふんふん、上手くのってるみたいだ。よかったよかった。軽く飲んで翌々日の予約を入れて帰った。

salleで、今夜がその翌々日。せっかくだから上のバーで待ち合わせ。「ボンソワール、いらっしゃい!」。一昨日、担当してくれたセルヴールがさすがに顔を覚えていて相手をしてくれる。8時半の約束にちょっと早く着きすぎちゃって、みんなを待つ間手持ちぶたさな私に、
「さ、オリーヴ食べなよ!さ、ヤサイ・スティックも食べなよ!」
最後には「はい、これも食べて!」とウインクしながら、テンプラの盛り合わせまで持って来てくれる。

どうもありがとう、ご親切にね。ふと遠くのテーブルを見ると、あれ、Wさんだ。[コシノ・ジュンコ]に務めているお友達。ちょうど先週末に終わったパリコレの打ち上げか、コシノ先生を初め、10人くらいのスタッフと一緒にお酒を飲んでる。忙しそうなので、軽く挨拶だけ。

fleullesようやくみんながそろい、アペリティフを飲みながらおしゃべり。ふと気がつくと9時半近い。やば、そろそろ下に降りよう。階段横の、お皿に浮かべたお花がきれいだ。例の空中に吊るされた花器の方は、今夜はチューリップ。前回同様、とてもとても素敵に生けてある。

「アペリティフは?」
「もう上で飲んできちゃった」
「そう、じゃ、もういいか。どうぞごゆっくり」。
にっこり笑顔のセルヴールにカルトをもらって吟味開始。でも、ついつい周りの様子の気を取られる。

だてにオーナーがコンラン卿な訳じゃない。ここはロンドンか?と、てんでパリっぽくないこのレストランには、相変わらず、英語が飛び交っている。ずいぶんセルヴールが変わってるな。かーいーこが増えたじゃないの、男の子も女の子も!すごい改善だぞ、これは。

お酒の注文を取りに来てくれた、ちょっと髪をブロンドに染めてるセルヴール君が今夜のヒーロー。とてもとても可愛い笑顔で気持ちいいセルヴィスをしてくれる。お料理も美味しいけれど、彼の存在のおかげで充実度が倍になった。

gaspachoお料理の方は、「ラングスティヌ(手長エビ)のガスパッチョ」「ドラド(タイ)のタブレ添え」。ガスパッチョにはちょっと季節が早いけれど、つい惹かれちゃう。にんにくの風味が軽くていいな。トマトのオレンジも鮮やかに決まってる。ドラドは美味しいタイの塩焼き。添えてある、ちょっとスパイシーなタブレが美味しい。

お酒は、ペイ・ドックの「アルカザール」オリジナル。小作りの優しいお酒。
「デセールは?」
「もちろん、いただくわ。ね、これはどういうの?こっちはどうなってるの?」
知っていることまで、せっかくの機会なので、金髪セルヴール君に聞いてみる。
「これはね、薄いビスケットに、、。こっちはね、メレンゲで、、、」。
口元にしわを寄せて、目を覗き込むようにして説明してくれる。くうう、かわいい。
「グリオット(小さ目のサクランボ)のパリパリ、軽いクリーム添え」も可愛い見た目だけれど、説明してくれたセルヴール君の可愛さには負ける。

いつまでもいつまでも、彼を見ていたいけれど、日付も変わったことだし、仕方がない、帰ろうか。また来るね、近いうちに。どうぞまた、私たちのテーブルを担当してください。

それにしても楽しい夜だった。やっぱりいいなあ「アルカザール」は。


mer.17 mars 1999



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