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グルマン・ピュスのレストラン紀行


レ・ザロブロジュ(Les Allobroges )

東の街外れ、20区にある「レ・ザロブロジュ」を訪ねてみる。

このレストラン、3年くらい前から、ずっと気になっていたレストランだった。100フラン以下でムニュがあったり、やたらと下町っぽい感じに語られるくせに、ゴーミヨで14点もつけている。ひょっとして掘り出し物なのかも、、ってチェックはいれておいたものの、機会がないままに時が過ぎてしまっていた。

寂しげな通りに埋もれるように、小さな看板が掲げられ、中の灯りが外に遠慮深げに漏れている。あ、ここか。さっさと歩いていると見逃してしまいそうだ。まだ新しいドアを押し開けて中に入ると、優しい色の壁紙に柔らかなタッチの照明、それに飾られている可愛らしい絵が迎えてくれる。小さ目のテーブルがちょっと狭すぎる間隔で並んでいる。全体的にシンプルで可愛らしい感じ。そしてとてもきれい。このレストラン、ずいぶん前からあるはずだし、きっとこの夏にでも改装したんだろうな、ってくらいの新しさだ。

potageアミューズのポティロン(かぼちゃ)のポタージュから始まり、「ラングスティンヌのポワレ、ララトゥイユ」、「仔羊の腿肉の煮込み、エンドウのピュレ」と続く。

ちっっちゃなラングスティンヌは上手にポワレされているし、ラタトゥイユも美味しい。でも、ただポワレしただけのラングスティンヌに、ごく普通のラタトゥイユだ。lingositone

仔羊は、丸焼きのにんにくや骨髄も添えてあり、量もたっぷり。お肉にはローリエの葉も飾られてとてもいい感じのお料理なのだが、う〜ん、いまいちしっくりこない。まず、お肉がちょっと匂う。仔羊、というより羊に近い。羊として食べた場合には、お肉についてはOK。柔らかく煮込まれて、ソースの味もいい。agneauでも添えられたローリエには香りがないし、本当にただの飾り。だったら、つけなきゃいいのに、、。骨髄に関しては、せっかくの繊細さが、逞しいソースにべちょべちょにまみれてしまう。風味豊かなコト・ダニョーのソテーに、あっさりした繊細なソース、そんなお料理についていればもっといいのに。

ブリーとサン・ネクテールっぽいフロマージュの盛り合わせに続いて、デセールはマルメロのミルフォイユ。フロマージュは美味しい。どこで買ってるんだろ?ミルフォイユも美味しいけれど、ちょっと甘すぎるマルメロの煮込みを挟んだ、ただのミルフォイユ。

要するにつまんないんだ。どのお料理も見た感じは美味しそうだし、実際それなりに美味しいんだけれど、それだけと言うか、芸がないと言うか、食べたときに感動がないのだ。うん、やっぱりつまらないんだね。

でも、生のマントで出したアンフュージョンはとてもいい香りだったし、アマンド入りのオレンジピールもとても美味しい。

そして、パン!!!このレストランのだんとつのお勧めはお店で焼いているパン。このパン、焼きたて、と言うこともあるが、とーっても美味しい。パリッパリの皮に香り良い中身。何でフロマージュが2切れしかないの??もっとちょうだい!っていうくらい美味しいパン。普段、あんまりパンに手を出さない私だけれど、サン・テミリオンを相手にバクバクバクバクとパンを食べてしまう。30分ごとくらいに焼き上げられた小さなパンが、客席にある大きな籠にザッザッって入れられる。そしてあっという間に各テーブルに運ばれて姿を消す。ほんと、パンは絶品だ。

雰囲気もとてもいいしお料理もそれなりに美味しいけど、どうもピンと来なかったレストランだ。お料理の趣味が合わなかったのかもね。パンを食べに来るなら価値のあるレストランかな、ここは。


sam. 17 oct. 1998



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