homeホーム

グルマン・ピュスのレストラン紀行


モン・ヴィエイ・ラミ(Mon Vieil Ami)

昨年末に誕生した、アルザスの3つ星レストラン、アントワーヌ・ウェスターマンさんのパリの店、「モン・ヴィエイ・ラミ」。取材に行って雰囲気を気に入り、そのあとすぐに食べに行って料理も気に入り、好みのレストランリストに仲間入り。ちょうど手元に送られてきた、取材記事の載った雑誌を片手に、サン‐ルイ島まで足を運ぶ。

店内古い石壁や梁を残しながらシンプルモダンな内装にしたてたレストラン、居心地いいんだ。従業員がそろって全員、ウルトラ愛想がいいんだもん。サーヴィス陣も、朴訥そうな笑顔がマルのシェフも。テーブルが詰まりすぎなのとイスがちっちゃめなのが玉に瑕だけれど、カジュアルレストランだもんね、仕方ないか。

アルザスワインをひっかけ喉を潤し、シャンパーニュをすすりながら、お昼ご飯の選択。どれもこれも食べてみたい料理がずらりと並び、しみじみ、相性のよさを感じる。カルトの料理を選び出すのに嬉しい困難が伴う店って、絶対的に相性がいいのは経験上分かってるもんね。この間食べた、鶏とシュークルートも捨てがたいし、本日のオススメの仔兎の煮込みにも惹かれるし、仔牛のトロトロもおいしそうだ〜、と、大いに悩むけれど、前回友達が食べて絶品だった「しろいんげんと野菜の煮込み、イカのポワレ」にやっぱり決めよう。スタートは、「根菜の軽い煮込み」で行きましょうかね。

根菜のポトフ風。コクがあって美味ダイコン、ジャガイモ、ニンジン、パネ、ゴボウなどの根菜をブイヨンでしっとり煮込み、上にマーシュとフォアグラの薄切りが散らしてある。冬野菜たちのしみじみおいしいことったら!味の濃いブイヨンで煮込まれたそれは、なんとなくブリダイコンを思い出す。しかし、パネ、美味だなあ。好きなんだよね、この、ヤマイモとニンジンの合いの子みたいな根菜。辞書を引くと“アメリカ防風”だって。なんじゃそりゃ?そういえば、オランダボウフウ、は、「ドリトル先生」シリーズに出てきた豚のガブガブの好物だったっけ。どんなにおいしいのかと、子供心にオランダボウフウに思いを馳せたっけ。似てるのかな?だったらおいしいはずだ。食べてみたいな、オランダボウフウ。

味見させてもらった、カモのパイ包みもサクサクパイとジューシーな肉のバランスが絶妙だし、ポワローとサバのマリネも、あこりゃこりゃ!なお味。サバ好きの私にはたまらない。次回のアントレは、これに決定。あれば、ね。

イカのポワレとシロインゲンと野菜のトマト煮込み。Good!ボーヌの赤をチビチビやりながら、懐かしいイカとインゲン、セロリやニンジンと再会。おや、前はかわいいココットに入ってやってきたのに、今回は既にきれいにお皿に盛りつけられてるよ。あとでシェフ・アントニーに尋ねると、テーブル小さいので、何個もココットを置けないから、とのこと。なるほど。ココットから自分で取り分けるのも楽しいけど、こうやってきれいに盛り付けられているのも悪くない。さっと焼いた柔らか小イカもさることながら、この料理、野菜の煮込みが抜群おいしいんだよね。シロインゲンとニンジンという2大大好き野菜が入った、トマトソース風味の煮込みが美味で美味で、これだけでもいいくらい。もっと食べたいよ〜。

仔牛。素晴らしい!友達の「仔牛のトロトロ」もまた絶品。おっきなココットに2人分が入ってやってくる。大量のニンジンに囲まれたあっつあつの仔牛の肉と脂の旨みに感動。いや〜、おいしいねっ!

友達の分までパクパク味見して、お腹は破裂寸前。夕食の約束もあるので無理は禁物、と会計を頼むと、レシートと一緒にショコラのタルトショコラのタルトが運ばれてくる。「食べてみて、おいしいから」とサンパな従業員君がニッコリ。サーヴィスはノロだけれど気がよいので憎めない。なにより、なかなかハンサム君。いい男だけれど冷たそうな某Sパティシエにちょっと似てるかな。死んじゃう、、、でもおいしそう。薄手のサクサクタルト生地に、トロリとろけるショコラクリーム。素朴で愛らしい、ここらしいお菓子でマル。

気が狂ったように膨れ上がったお腹を抱えて、さようなら。また来るね〜近いうちに。嬉しいな、こんなに相性のよいレストランがパリにまた一件増えてくれて。なにより、日曜日オープンなのがありがたい。不毛の日曜日に行けるレストランはほんとにありがたいもんね。オープン以来、あっという間に人気店。昨日もちょうど『フィガロ・スコープ』に大きな記事が載ってたし、数日後にはお昼のグルメ番組にも出てた。業界誌・女性誌には言わずともなが。アルザスの3つ星の味の片鱗を感じられる、センスも気もよい、素敵なお店です。


jeu.5 fev.2004



back to listレストランリストに戻る
back to listパリの地図に戻る
back to list予算別リストに戻る


homeA la フランス ホーム
Copyright (C) 1999-2004 Yukino Kano All Rights Reserved.