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グルマン・ピュスのレストラン紀行


ラ・シガール (La Cigale)

お天気の悪い一週間の始まり。地面に落ちてきちゃうんじゃないかしら?と思うくらいに分厚い灰色で覆われた空。あーあ、もう、空がこんなだと、気分まで重くなってきちゃう。お願い、もう少し軽やかな気分にさせてちょうだい。

今日のお昼は、「ボン・マルシェ」のすぐ側にあるスフレがスペシャリテのレストラン、「ラ・シガール」。スフレを食べる来たのには、訳がある。数週間前、お友達を招いた時にチャレンジしてみたマロンのスフレ。雑誌の表紙を飾った、あまりにも美味しそうなスフレに心揺さぶられ、張り切って作ってみた。

オーヴンに突っ込んでワクワクしながら待つこと15分。さあ、出来たかな!?と、蓋を開けると、なんだかしなびたスフレがたくさん。あれえ、写真だと、器からたっぷり5センチは膨らんでるのに、私のは1センチしか膨らんでないよ、、、。卵白の泡立てが、やっぱり足りなかったのかしら?疲れちゃったからね、途中で止めちゃったのがいけなかったのかなあ。まあ、味は悪くないけどさ。

ピュスの両親にもおすそ分け。
「ほんとはね、スフレのはずだったんですけど、ただのマロンのお菓子になっちゃったの、、」
「セ・パ・グラーヴ(大丈夫よ)!要は、美味しければいいのよ」大家さんはそう言ったけれど、やっぱりね、スフレはスフレらしくあって欲しい。

次の週、またまた挑戦してみた。今度はね、ちゃんと監督つきよ。Mこさんの指導の下、再チャレンジ。やっぱり途中で疲れた卵白たては、Mこさんの黄金の腕に後を任せ、カチッカチの素晴らしい卵白の出来上がり。嬉々として、混ぜて詰めて入れて待つ。15分経過。オーヴンの蓋を開けてみると、2センチだけ膨らんだ、やっぱりよぼよぼのスフレ達が並んでる。どうやら、うちのオーヴンは上火の威力が弱いので、パリッと大きく膨らまないらしい。くすんくすん、、、、。スフレを料理レパートリーに入れたかったのに、、、。

そんな訳で、スフレに対しては、最近ちょっと気負い気味。じゃあ、レストランではどのくらいちゃんとしたスフレが出てくるのかしらっ!?と、気合いいれて試しに行くと、やっぱりね、レストランのスフレは、とてもよく出来てるわ。

何てことのない小さな普通のレストラン。スフレがスペシャリテではあるけれど、鴨のコンフィやブランダードなど、普通の料理も作っている。1時のお昼時、店内はほぼ埋まり、常連っぽい感じの人々で賑わっている。

soufflet「モリュ(干ダラ)のスフレ、タプナード・トースト添え」を注文。コート・ドゥ・ブレイの白いお酒を飲みながら待つこと10分ちょっと。ヴォアラ!と、目の前に出てきたそれは、器からたっぷり5センチ以上膨らみ、表面がカリッと焼き上がった、それはそれは立派なスフレ。やっぱり全然、おうちで作るのと違ってる、、、。ちぇっ、いいよいいよ。しょせんオーヴンが違うんだもんっ!

ちょっと塩気が残り過ぎるきらいもあるけれど、なかなか美味しい。ふわっふわであっつあつのスフレ、ハフハフしながら、フォークを口に運ぶ。オリーヴ味のトーストが、いいアクセント。味見させてもらった「アヴォカドとソモン・フュメのスフレ」も、優しく甘目の味で、いい感じ。

rhumデセールもスフレ。ラムとレーズン、オレンジとオレンジリキュール、ヴァニラに赤い果物ソースをそれぞれ注文。ラムをたーっぷりふりかけて戴くスフレも、オレンジの香りが爽やかなスフレも、ヴァニラとソースの甘みが焦げた砂糖によく合うスフレも、みんな美味しいね。いかにも美味しそうに、気前よく大らかに膨らんでるしさ。

スフレも美味しかったけれど、普通のお料理も試してみたいな。セルヴィスも何てことないし、内装もごく普通だけれど、お友達どうしで、おしゃべりに夢中になりに行くレストランとしては、なかなかいいかも。

今後、自分の家では絶対にスフレを作らない決心をして、美味しいスフレ屋さんを後にする。


lun.7 fev.2000



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