homeホーム

グルマン・ピュスのレストラン紀行


ラ・フェロヌリ (La Ferronerie)

先週の水曜日、M美ちゃんと行った久しぶりの「ラ・フェロヌリー」。初めて目にした自家製の鴨のフォア・グラと、大好きなブーダンを、いつものテーブルワインをガブガブ飲みながら堪能。やっぱり「ラ・フェロヌリー」は美味しいねえ。来週のお食事会も、やっぱりここにしよう。

「予約、していってもいい?」
「もちろん。いつ、ピュス?」
「来週の火曜日」
「なんじ?」
「8時30分」
「8時30分って言い方はしないんだよ。8時半、もしくは20時30分って言うもんなんだ」
「あ、そうなの?知らなかった。メルシ、パトリック」
「ドゥ・リヤン。2人?」右手をパーにする。
「5人?オララ!全員フィーユ(女の子)か?」
「半々」
「ちぇっ」そんなこんなで、今夜も「ラ・フェロヌリー」です。

家を出た所で、大粒の雨。傘が嫌いな私も、さすがにこれはちょっと、、、。慌てて傘を取りに戻って、雨の匂いを嗅ぎながらメトロに向かう。寒いな、手がちょっと。しばらくあったかかったから、もう手袋はめる時期は終わったかな、って思ってたけど、やっぱりまだだわ。来週の水曜日も寒いといいなあ。せっかくだから、手袋はめて行きたいな。

ドアを開けて飛び込んだ「ラ・フェロヌリー」は、あったかさといい匂いでいっぱい。既に来ていた4人にこんばんはして、パトリックにご挨拶して、オーヴァー掛けに行って、厨房の様子を覗いて、ようやく着席。アペリティフも飲まずに待っていてくれた皆さん、遅れてすみませんでした。

黒板に書かれた今夜の料理を解説しながら、あーだこーだ料理の吟味。食べることが好きな今夜のメンバー。料理の選択にも気合いが入ってる。ラディとソシッソンをつまみながら、時間かけてようやく料理の決定。珍しくテーブルワインから浮気して、《今月のヴァン》からペサック・レオニャンのお酒を注文。それでは乾杯!ボナペティ!

artichaut5人という人数で食事に行くことはめったにないけれど、これだけ多いと、いろんな料理が味見できて楽しいよね。お決まりのハムとパセリのゼリー寄せから、ナスのピュレ、丸ごと茹でたアーティショークまで、あれもこれもと、お皿の上はお子様ランチ状態。そろいもそろって食べるのも飲むのも大好きな5人。飲んで喋って笑うのに忙しくて、なかなか料理が食べ終わらないよ。

プラの欄には、だーい好きな小鴨のハチミツ風味を発見。ずっと前に一度巡り合って熱烈に愛したこの料理、もう2度と会うこともないだろうな、と、しんみり足の骨までしゃぶったのに、再会しちゃった。canetteあの、涙の別れは何だったのかしら?まあとにかく、また出会えて嬉しいわ。柔らかだけれどきちんと筋が通っている小鴨の癖のある肉と、トロリと甘いハチミツと肉汁を合わせたソースが、やっぱり美味しい。

仔牛のブランケット(クリーム煮)や豚のローストは、典型的な「ラ・フェロヌリー」味で、滋味深く美味しい。豚のガルニになっていた、西洋ゴボウのドフィンヌ仕立てがまた、このレストランらしい味でグー。横に座ったのをこれ幸いと、Aちゃんのお皿に手を出して、ゴボウをつつく。果ては、「これすごく美味しいから!食べて食べて!」と、他の人に勧める私。って、これ、Aちゃんのだってば、、、。

omelette冬から早春の名物、トリュフ入りオムレツも、甘目に作ってあってとってもいい。欲を言えば、もう少しトリュフの香りが移っているとよかったけどね。まあでも、ウマウマのオムレツです。アントレ同様、またしてもお子様ランチ状態で、「オイシイ!」と「ン〜」を連発しながら、パクパクパク。あのポ・ト・フがなかったのが残念だけれど、まあまた次回にね。

vins食べるのに夢中になっても、飲むのも忘れてない。「グラスがからっぽ!」と3本目のボトルをパトリックに頼んだ時には、「まだ飲むのか?」と目をむかれる。酒豪の5人、本当は5本開けるのを目標にしてたのだけれど、まあ今夜は3本で止めておく。この後、また飲み直すしね。97年という、若い若いお酒だけれど、あっさりすっきり、かつ香りだけは上品で、なかなかいいんじゃないんですか。

去年辺りからのお気に入り地区、ペサック・レオニャン。ボルドーの他の地区よりまだお値段も安く、しかも頑張っていいものを作っているシャトーが多い。オー・ブリオンから始まり、オ・バイイ、スミス・オ・ラフィット、ドメーヌ・シュヴァリエなどなど、キラキラ輝く高級ワインもさる事ながら、まだ知名度の低いシャトーを発見するのが楽しい地区だ。初めての「ル・レジャンス」での、ディディエに導かれての感動的な出会いも、この地区のお酒だったし。

喋る勢いも笑う勢いも衰えさせず、デセールの時間に突入。タルト・タタンにたっぷりクレームを乗せて頬張り、パンプルムスのソルベで口の中をさっぱりさせ、カフェのグラスでまとめてみる。

あー、お腹一杯。美味しかったし楽しかった。気のおけない仲間と(って、今夜のメンバー、Oさんとは一ヶ月前に一度だけ「こんにちは」と5秒間だけ挨拶をしただけだし、後の3人は全く初対面なんだけど。美味しいものとお酒が好き、っていう、素晴らしい共通点があるので、とても初対面とは思えなかったね)ワイワイガヤガヤ騒ぐには、「ラ・フェロヌリー」はとてもいい店だって事に、改めて気がついた。そう言えば、常連さん達はいつも、パトリックを巻き込んで、ワーワー騒いでるもんね。楽しく騒いだもの勝ちなんだ、このレストランはきっと。

内装やカトラリー類、お客様にうっとりすることもないし、ルノーのところみたいに、従業員に見惚れるのに忙しいこともないし(パトリックの毒舌は聞くに値するかもしれないけれど、、、)、とにかく、料理以外に気を取られる要素が少ないから、同席者に集中しやすいんだ。

小雨がパラリと落ちる中デ・プレの辺りまで歩いて、穴蔵みたいなバーで飲み直し。若くて可愛い子が男女を問わずたくさんいる。こういうところもいいな。いつも、客の平均年齢が自分より20くらい高いところに行ってるもんね、、、、。可愛い子がいるバーに、また今度連れてってくださいね、Kさん。


mar.15 fev.2000



back to listレストランリストに戻る
back to list地図に戻る
back to list予算別リストに戻る


homeA la フランス ホーム
Copyright (C) 1999 Yukino Kano All Rights Reserved.