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グルマン・ピュスのレストラン紀行


YVAN(イヴァン)

夕暮れが訪れる時間がめっきり遅くなった。6時くらいだとまだ、空の色は昼色だ。早くおいで、パリの春。お昼寝に没頭している猫ちゃんをベッドに残して、出かける支度を始める。

気合いが入ったお出かけの場合、音楽をかけてバスタオルを用意してから玄関のドアに鍵を掛けるまでの所用時間は2時間。途中、マニキュアを乾かしながらだらだら寛いだり、ニュースを見たり、と、半分遊びながら、ゆっくりゆっくり準備をしながらお出かけ気分を盛り上げていく。この支度の時間が、私、大好き。一番楽しいかもね、「レストランに行く」という一連の行為の中で。

8時半、準備完了。靴を出してオーヴァー着て、手袋はめる前に猫を一撫で。いい子でお留守番しててね、猫ちゃん。なるべく早く帰ってくるように心がけるからね。

クレマンソーで地上に出て空を仰ぐ。今夜はプレンヌ・リュヌ。コンコルド広場寄りの空に浮かぶ、真ん丸の月。濃紺の夜空に薄い薄いレモン色がにじんでいる。ロン・ポワンまで歩いて、もう一度月に見惚れる。月の光を受けて、パリが輝いている。キラキラと細かな照明を瞬かせるエッフェル塔の輝きも、月の光に浄化されたように崇高に見える。すぐそこのテアトル・シャン・ゼリゼで、今夜はセザール賞の授賞式。素晴らしい月夜のもと、おおいに盛り上がっていることだろう。

プレンヌ・リュヌの柔らかな光を全身に浴びて大きく深呼吸。キンと冷たい冬夜の空気が月の光と一緒に体に入り込んでくる。私は月に恋してる。月と同じくらい恋しているレストランで、今夜はMきちゃんと私の、フライングお誕生会第一回目。たっぷり2週間以上もフライングしていいのだろうか?と、ちょっと首をかしげるけど、しかたがないよね。来週には日本だし、Mきちゃんはしばらくそのままパリに戻らないから、日本に行く前におゆわいしておかなくちゃ。26歳と29歳のお誕生日をここで祝った時のことを懐かしく思い出しながら、ロン・ポワンを右に折れる。

「メ・プレット(僕のかわいこちゃん達)!サ・ヴァ?」バーの向こうから、ファブリスが飛び出してくる。
「ボンソワー、ファブリス。サ・ヴァ?」
「俺はね。テオが病気なの。君のそのパールくらいの大きさのブツブツが体中に出来ちゃってるんだ」水疱瘡かな?はしかかな?一生懸命説明してくれるんだけど、単語が難しくって全然わかんない。みんなかかる病気らしいのだけれど、1歳前にやっちゃうと、もう一回かかる恐れがあるんだそうだ。
「かわいそうに。早く治るといいわね。お嬢ちゃまの方は?」
「シェ・マミー(おばあちゃんち)。ヴァカンスだからね」
「そっか」
「どうでもいいけどさ、今夜ピュス、顔が違うよ」
「なにそれ?」
「いつもと顔が違う。化粧変えた?」
「ううん」
「髪切った?」
「もう2週間以上前に。先週寄った時の方が短かったんですけど」
「なんかなー、違うよ、いつもと。なんだろ?」
「髪切ったのは、私よ、私!ファブリス?しっかり見てよ」日本語でMきちゃん。
「ねえ。どしたんだろ、今日?テンション高いよね、ファブリス」日本語で私。

salleルドゥヴィックが控えめに挨拶しに来た後、デルがやってくる。同時に頬を差し出しちゃったMきちゃんと私の、どちらから先にビスーをすればいいか困っちゃって、
「アッハッハ!俺ってやっぱり、人気者?」そうじゃないって、デル、、、。今夜は久しぶりに、カウンターにパスカルオヤジがいる。12月にTと来た時に見て以来だわ。

「来いよ、行くぞ」ファブリスの先導で、4番テーブルへ。慇懃にテーブルを直してくれて、胸を張って重々しく告げる。「いいか、今夜は君たちを、王侯貴族並みにもてなすからね。素晴らしい夜を約束するよ。どうぞ楽しんでってね。シャンパーニュでいい?あ、せっかくだからロゼにしろよ。華やかでいいぜ、な?」

「ほんとにどしたの、ファブリス?」
「何かあったのかしら?ま、あんまり気にしない方がいいわよ」バーに戻って行くファブリスを見送りながらぽかんと口を開ける私とMきちゃん。

ロゼ・シャンパーニュ、それにカルトが運ばれる。ようやく、ほんとーにようやく変ったカルト。長かったよね、この前のカルト。7月終わりから年明けまでずっとあれだったもん。カルトをなかなか変えないのは分かっていたけれど、こんなに長く変えなかったのは、私の知る限り、初めてだったんじゃないかな。
「嬉しいな、今夜はカルトを読む楽しみがあるのね」
「ね。じゃ、始めましょうか。とりあえず、チン!」フルート傾けて、カルトを広げる。

真剣に読みはじめるMきちゃんと対照的に、私は、いまだ姿を見せないブルノーを探したり、前を横切るいかにもK子好みの、首とお尻がしっかりしたお兄さんを見たり、新しいセルヴールの顔をチェックしたり、バーに入ってきたイヴァンとニッコリ笑顔を交わしたり、ちっとも落ち着いてカルトを見やしない。「ぴゅすちゃん、これはなあに?」とMきちゃんが右ページの中辺りを読んでいる頃、まだ私は左ページの一番最初の料理にしか目を通していない始末。

「だってね、だってね、ブルノーがいないんだもん。気になってカルトに集中できないよ。どうしていないの?なんでいないの?今日はいる、って言ってたのよ。ブルノーがいなくちゃヤだ、、、」ってわめいているうちに、ようやく奥からブルノー登場。
「ボンソワー、ピュス。サ・ヴァ?」
「うん、サ・ヴァ。いないのかと思っちゃった。全然姿見えなかったから」
「キュイジーヌにいたんだ。大丈夫、ちゃんといるからね」
「よかった」

酔っ払う前に、と、ブルノーに写真を撮ってもらう。どうかな、可愛く撮れたかな。あれ、なんか変よ、私の顔。もう一枚お願いね、ブルノー。やっぱり変だわ、私の顔。いつもと違う。なにが、って訳じゃないけど、なんかいつもと表情が違う。ファブリスは正しい。うん、確かに私いつもと顔が違うわ。ブルノーの存在を確認していきなり気分よくなって、ようやくカルトに集中。アミューズをつつきながら、カルトを吟味し、まわりのテーブルに運ばれる皿を覗き込んで内容を確認し、分からない単語をデルに聞いて、オッケ、決まりました。

「ロット(あんこう)のカルパッチョ、その後がラパン(ウサギ)のロティ」
「悪い、ラパンもう終わっちゃたよ」
「あら。んっと、じゃあ、、、パンタード(ホロホロ鳥)か仔牛にしようかな」
「パンタードにしろ」
「ダコ。じゃ、それでお願います。そうだ、ラパンに付いてたグラタン・ドフィノワ(ジャガイモとニンニクのクリームグラタン)、まだ残ってたら、ガルニ、それに変えて欲しいな」
「了解」

初めて見るセルヴール君がパンを運んでくる。知らないわ、こんな子。珍しく、飛びっきり若い子だ。可愛いじゃない、前から見ると。横顔はちょっと崩れてるけど。ねえねえ、誰か紹介してよ。

ルドゥヴィックにお酒の注文。
「アルザスのピノ・ノワール。97年で二つあるのね。どっちがいいのかな?」
「いい方を持ってくるよ」しばらくの後、ワインを見せに来るルドゥヴィック。
「これでいい?」
「こっちの作り手ね。あれ、96年だけど?カルトには97年ってなかった?」
「セ・パ・グラーヴ、気にすんなよ。これが一番美味しいからさ」
「はい、、、」ハハハ、ルドゥヴィックもかなり「イヴァン」化してきたねえ。そう、そんな細かいところを(細かくないけど)気にしてちゃ、このレストランでやっていけない。

従業員に従い、パトロンに従い、僅かな隙間を見つけてワガママ言う時には言う。これがこのレストランで楽しく過ごすコツ。時間も気にしちゃいけない。これもポイント。お酒の注文を済ませた段階で、ここに入ってからたっぷり1時間は過ぎているはずだ。時間に余裕がない時にこのレストランに来るとかなり悲惨だろうなあ。

「エ、ヴォアッラー!ボナペティ、ピュス」ブルノーが笑顔と一緒に運んで来てくれたアントレが到着して、カトラリーを手にする。lotte「ロットのカルパッチョ、ラングスティヌのタルタル添え」。昔々、「イヴァン」にまだエルヴェとEさんがいた頃、「ロットのカルパッチョ、セロリ・ラブ(根セロリ)添え」という、素晴らしいアントレがあった。あんこうを生で食べたのは、その時が初めてだったと思う。甘く歯ごたえがあって、素敵な料理だった。

シェフ・フレデリックのヴァーションは、エルヴェのよりも薄く薄く、味付けはシトロン・ヴェール(ライム)とバルサミコ。上に散らされたたくさんのハーブの中から、嫌いなアネットを一生懸命取り外して、ナイフを入れる。酸味と甘みを合わせて食べると美味しいけれど、もう少しロットを厚めに切ってあればいいのに。薄すぎて魚の味がよく分からない。私には、ちょっとドレッシングが多すぎるな。

一切れ目を口に入れた時、フォークの感触が気になる。見ていると、ちょっとだけ、先の部分が曲がってるところがある。
「ちょっとイヤ。代えてもらってもいいよね」
「もちろんよ、ぴゅすちゃん」通りかかったブルノーに頼む。
「フォーク、代えてもらってもいい?」 「もちろんだよ」新しいフォークを取りに行くブルノー。
「なんで代えてって言ったか、分かってると思う?」
「分かるでしょ、そりゃ。プロだもの」
「そうかなあ、、、」ちょっと懐疑的な私。案の定、新しいフォークを差し出しながら、ブルノーは私にこういった。
「さっきのは汚れてた?」ハハハ、これだもの。
「ううん。先っぽのところがちょっと、うーんと、、、」フランス語を探していると、
「ああ、クルベだったのかな?」
「そう、それそれ」ブルノーは察しがいい。

「上手くいってる?楽しんでる?問題ない?欲しいものは?」高いテンションを保って、通りすがりにファブリスが御機嫌伺い。
「楽しくやってるよ」
「そっか、よかった!」さっそうと去っていくファブリスに、思わずカトラリーを持つ手が止まる。
「ぴゅすちゃん、ダメよ、気にしちゃ。ほっておきましょ。さ、食べるわよ」
「う、うん、、、」面白すぎるよ、今夜のファブリス。

pintade「はい、パンタード。特製ドフィノアつきだぜっ!」デルが胸を張って運んできたプラは、うん、彼が胸を張るだけのことはある。美味しいんだ、これが。ロティしたパンタードに、甘目のソース。この甘いソースに私は本当に弱いなあ。肉も柔らかく火を通され、これはこれは、なお味。パルマンティエが本来のガルニだったけれど、代えてもらったドフィノアに甘いソースを絡めて食べると、これがまたイケる。美味しいよ、これ。とても美味しい。甘くて柔らかな、昔愛した「イヴァン」の味よ。

Mきちゃんのサン・ジャック(ホタテ)もグー。
「美味しいわ、とっても」
「うん、サン・ジャックもパンタードもとってもよく出来てる。火の通りもいいし。これ作ったの、フレデリックじゃないわよ、きっと」
「あはは。そうかもね。シェフがいなくてスゴン(2番手)が張り切ってるのかしらね?」
「うん、絶対そう。シェフ・フレデリック、今夜休みだと思わない?まだ一回も顔見てないし」
「そう言えばそうね。こんな時間までバーに姿を見せないって事は、間違いなくいないわね」
「でしょ?厨房にずっといるなんてこと、彼に限ってありえないし」

ちょうどお酒を注ぎに来てくれたルドゥイックに確認。
「ねえねえ、今日、フレデリックはいるの?」
「いないよ。ヴァカンス」
「やっぱりねー」
「なんで?」
「ん?だって、今夜の料理、とっても美味しいもん」
「オーララ!」なんて事を言うんだ、この子達は 、、みたいな顔して薄く笑いながら去っていくルドゥイックを見送りながら、Mきちゃんと顔を見合わせる。
「だって」
「ねえ?」いつもバーで遊んでばっかりいる、シェフ・フレデリック。彼の爽やかで可愛い笑顔がないと、ちょっと寂しいね。

土曜の夜にしては気持ち静かな始まりだった「イヴァン」だけれど、日付が変わった頃には、バーはイヴァンを中心に盛り上がり、サルはサルで2回転目の客の注文を取りはじめ、活気は最高潮に達してくる。昔の私のお気に入り、19番で一人グラスを傾けるパスカルオヤジには、きちんとセルヴール達が入れ替わり立ち替わり相手をしているし、誰も彼もおおいに楽しそうだ。

新入りの若い子がフロマージュをセルヴィスしに来る。いいよ、だーれも紹介してくれないから、ちょっと話しかけてみよっと。
「いつからいるの?」
「5ヶ月くらい前です」
「5ヶ月?会ったことないよね、私たち。初めて見た気がするんだけど?」
「まだ学校なんです。研修に来てるので、いない時も多いんです」なるほどねー。しかしまあ、5ヶ月も前からいたというのに、シェフ・フレデリックに次ぐような可愛いこのセルヴール君に一度も会えなかったなんて、運が悪かったわね。それにしても、よりによってこんなレストランに研修だなんて、、、、。同情すると共に、どうしても沸き上がってくる疑問が一つ。で、彼はゲイなのかしら?さすがにそんなこと、この子に聞けない。今度誰かに聞いてみよっと。

リヴァロとルブロションをお味見。飲み干していたピノ・ノワールの代わりに、ルドゥヴィックがブルゴーニュのなんたらを(なんて言ったか覚えてない)、グラスで持って来てくれる。メルシ、ルドゥヴィック。

「どう、楽しんでるかいっ、ピュキ!いいだろ、この名前。一度にピュスとMキの二人を呼べるんだ!ピュキ、ピュキ♪」通りすがりに、嬉しそうにこちらに言葉を向けるファブリス。やっぱりちょっとおかしいって、今夜。グラスを持ったまま、また動きが止まっちゃう。
「ぴゅすちゃん、駄目よ、気にしちゃ!流して、流して」
「う、うん、、、」

デセールのカルトは冬の初めから同じもの。
「チョコレート好きなら、これがオススメ。でもピュス、これは前に食べてたよね?」記憶力もいいブルノー。
「アマンドとショコラのお菓子。マングーのグラス添え」にしましょう。
「ねえねえ、ブルノー。今夜私たちお誕生会なんだよ」
「分かってるよ」ウインクして立ち去るブルノー。
ワクワク、ドキドキ。来るかな来るかな?あ、流れていた音楽が小さくなった。来るかな来るかな。あれ、まだ?緊張しちゃうよぉ。ドキドキ、まだかなまだかな。カメラの用意、出来てるよ。

BGMが消え、ただでさえ暗めのサルの照明がまた一段と落ちる。ちょっと間をおいて「ジョワイユ〜・ザ〜ニ〜ヴェルセ〜ル、、、」と、ハッピー・バースデーの音楽が流れはじめる。テンポのいい曲に乗って、おっきな花火がシューシュー火花を散らしているデセールが二つ、運ばれてくる。
「ジョワイユ・ザニヴェルセール、ピュス!」とブルノーが花火を目の前に置き、まわりのお客様からは拍手が贈られる。店中の注目を浴びてちょっと恥ずかしいけれど、とっても嬉しい「イヴァン」のお誕生日のセレモニー。ルドゥヴィックがシャンパーニュを運んで来てくれて、改めてチン。
「お誕生日おめでとう、Mきちゃん。ちょっと早すぎて、実感沸かないけど」
「そうね、まあでも。お誕生日おめでとう、ぴゅすちゃん!」

chocolatサックリしたショコラのお菓子にパリパリのパートフィロ。なんでついてるのかよくわかんないぞ、これ。チュイルでも付けてくれればいいのに。マングーのグラスはなかなか美味しくって、もっと欲しいなもっと欲しいな。ブルノーに目を合わせて呼んでみる。
「なあに、ピュス?」
「あのね、あのね、、、」
「あ、グラスでしょ?待ってて、すぐ持ってくるから」ほんとに察しがいいねえ。ブルノーと話していると、言いたいことを全て察してくれるから、会話が楽に進む。彼と話していると、自分がちょっとフランス語が出来る気になっちゃう。改めて、クランブル付きのグラスをもらって、パクパクパク。美味しいデセールもなくなり、もらったシャンパーニュも飲み干し、楽しい時間も終盤を迎える。

マントのアンフュージョンを飲みながら、一週間ぶりに会うMきちゃんと近況報告の続き。語ることがあり過ぎて、時間が全然足りないよ。ブルノーが持って来てくれた新しいお茶を飲んで、プティフールもつまんで、今日はそろそろ帰ろうか?明日も私、お昼に「コスト」だし。そうだ、忘れてた。猫も待ってるんだ。

ラディション頼もうと、ファブリスを探すけれど、そう言えばさっきからいないんだよね、彼。
「ファブリスは?横?」
「さあ?帰ったんじゃないか?プティかもしれないけど」ラディションしてくれるデル。かえった〜?私たちに挨拶もなしに〜?ブルノーに確認。
「ファブリスはまだプティにいる?」
「あ、もう帰ったよ、今夜は」なんてこった。本当にあいつ、挨拶もしないで帰ったの?せっかく、オセアンに“てのひらピカチュウ”を持ってきたのに。ようやくフランスでも始まったポケモン。ちょうどオセアンくらいの子供なら知ってるんじゃないかな、って、プレゼントしようと持ってきた。しばらくここにも来ないだろうし、仕方ない、置いていこう。ラディションが入っていたケースを便箋にして、ファブリスにお手紙。フランス語が本当に書けない私、たくさん間違えをしながら、何とか書き上げてみる。これでいいのかなあ?

「これ、ファブリスに。っていうかオセアンに、って渡して」ブルノーに託す。
「オッケ。こっちは、手紙?僕見てもいい?」
「もちろん。添削してちょうだいな、ブルノー」ちょっと不安なんよね、ブルノーのフランス語も。ちょっとというより、かなりね。まあとりあえず、こんなもんじゃない、と、さらに2つほど間違いを直し、“てのひらピカチュウ”の使い方を教えて、ぐちゃぐちゃの手紙を添えて、ブルノーに預ける。さっそくピカチュウで遊びはじめる、ブルノー、ルドゥヴィック、そして今夜ようやく名前を知ったフィリップ。遠くでラディションやってるデルにはよろしく伝えてもらうことにして、みんなとバイバイ。とっても楽しかった。どうもありがとう。

寒い寒い真夜中のパリを、美しいプレンヌ・リュヌが照らし続けている。白い光を放つ月は、さっきよりも少しだけ、エッフェル塔に近づいた。日本では、どんな風に見えたんだろう。週末のこの時間にしては珍しく、すぐにタクシーがつかまり、家に帰る。そーっとドアを開けると、猫が飛び出して来て、頭を足に摩りつける。寂しかった?もう3時近いんだ?ごめんね、こんなに長く、一人ぼっちにしちゃって。「イヴァン」でもらった幸せとあったかな猫を抱いて、ベッドに飛び込む、きれいな月の夜でした。


sam.19 fev.2000



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