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グルマン・ピュスのレストラン紀行


ル・ブリストル (Le Bristol)

ジルちゃんの所でランチ♪ 夏も近いというのに、ちょっと冷たい風が吹いているため、テラスご飯はダメだってさ。私、うんざりするくらい、ここのテラスと相性悪いよね。5月から9月にかけてオープンする、テラスに面した夏のサロンでご飯を食べたことは、10回はあるだろうに、テラスでご飯を楽しんだのって多分4〜5回。半分以上は、目の前に広がるテラスを恨めしげに眺めながらの、窓際ご飯になっている。トラウマになりそうだな、、、、。

アミューズガラス窓越しに緑美しいエレガントなテラスを眺めながら、軽いため息をついて、シャンパーニュで、我が身の不幸を慰める。う〜ん、美味しい。やっぱり夏は、ピンクシャンパーニュに限るね。慰められた♪シャンパーニュロゼ、でなく、ピンクシャンパーニュという言い方が好きだ。口に出して発音してみると、ワクワク感と華やぎが、後者の方がずっと高い気がする。

紫ジャガイモ&ミモレットのチップス、お米のチップス、トマトタルト、魚のコロッケ、ラディッシュコルネ。これだけで、軽い一食分になるのでは?といつも思わせられる、にぎやかで美味しいアミューズたちを平らげ、料理とお酒を決めてパンを選び、フレションさんのお料理を待つ。

卵&アスパラガスまずは、この春きってのお気に入りになった「アスパラガスと卵のサヴァイヨン」をちょっとだけいただく。春色を満面にたたえたこの料理に会えるのも、きっと今日が最後だろうね。とろけそうな卵とアスパラガスの美味に、体の中がうっとりする。美味しいものが大好きなあしゅりんは、おいしいわぁ!おいしいわぁぁ!を連発しながらふた口で平らげた。

続いて、シェフ・フレションが作ってくれたのは、ウナギのムニエル、パセリソース「アンギーユ(ウナギ)のムニエル、パセリのピュレ」。この間来たときにKが食べたのを味見させてもらったけれど、これがまた傑作!最近の新作の中で、シェフの一番の会心作だと、メートル氏が言う。たっぷりと脂が乗ったウナギを、ムニエルと言うよりは、粉をしっかりつけてフリットにしている感じ。アツアツの衣をサックリを噛み切ると、中にはジューシーな脂をたたえたウナギの身。濃厚で官能的。たまらないなあ。ホタテ料理にも使っている、ニンニクの効いたパセリのピュレの、男らしいしっかりした味わいに、ウナギの脂が混ざって、なんともはや。上にかかったフワフワのエミュルジョンソースは、なんだったっけ?やっぱりニンニク系の味だったと思う。

いやはや、これは確かに傑作だ。ただし、一皿全部食べると、その艶っぽく饒舌な料理の迫力に負けちゃうね。Kも、一皿食べきるのはきつそうだった。私たちも、ハーフポーションで出してもらって、これでピッタリちょうどいいね、という感じだ。いや〜、見事に美味しい!

コヒツジちゃん続いてプラは、久しぶりに、仔羊ちゃんなど選んでみる。季節だもんね。背肉をほうれん草だったかなにかでクルリと巻いた作品。手が込んでいてきっちり美味しいのだけれど、私はやっぱり、仔羊ちゃんは、背肉を骨付きのままカットして、シンプルに焼いただけのが好き。コートダジュールでよく食べさせてくれるような。付け合せのクルジェットのラタトゥイユみたいなのと、ニンニクのコロッケは絶品ですね。あしゅりんに取らせた、お気に入りのコブタちゃん。愛してる♪仔豚ちゃんの炭火焼が気になって気になって、結局途中で交換こしてもらう。3枚肉を分厚くカットして炭火でこんがり。香りはマスタードソース。緑アスパラはコンガリ&ジューシー。

この1年、この料理をなんども食べて、しみじみ思うのは、やはり肉自体の味が料理全体の味を左右する、と言うこと。毎回、肉の状態が微妙に違って、気が遠くなるくらい美味しいときと、しみじみ美味しいときと、普通に美味しいときがあるんだ。今日のは、しみじみと普通の間かな。気が遠くなったときのことはよく覚えてる。去年の夏、テラスで食べたとき。それから、今年の4月。それこそ、あしゅりんのお友達と一緒に来たときだ。

フォレ・ノワール。傑作!マカロンやフイタージュのアヴァン・デセールを平らげ、この数ヶ月の最大のお気に入りデセール、ジルちゃん版“フォレ・ノワール”を食べているところに、ジルちゃんが登場。
「ククー、シェフ!」
「クク!元気だった?なに?またそれ食べてるの?好きだねえ、ほんとに」
「好きだよ、ほんとに。生まれて初めて好きになったフォレ・ノワールだもん」素晴らしい口当たりと味のミルクショコラのムースに、とろけそうにおいしい生クリーム、パリンパリンの香り高いショコラ。繊細極まりないサクサクのビスキュイに包まれた、グリオット(小さな黒サクランボ)のリキュールコンポートに、キルシュのアイスクリーム。完璧だね、このデセールは。

最愛のパティシエ、ジルちゃんと、フォレ・ノワールとシャンパーニュ(今度は白だ)を楽しみながら、久しぶりにゆっくりおしゃべりする。目の端に寄るしわが、あうごとにどんどんいい感じになっているね。とてもよろしい。私は、目と口元に寄るしわが大好きだ。ヤニックみたいに。ただし、金髪青い目は好みでない。残念だ、ジルちゃんは金髪青い目で。ちなみにヤニックは、髪も目もちょっと茶がかった黒だ。非常によろしい。


ven.4 juin 2004



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