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グルマン・ピュスのレストラン紀行


ル・フュモワー( Le Fumoir )

冷たい風に雨が混じる夜、みんなで鶏鍋をつついた翌日の日曜日は、久しぶりの快晴。その姿形をほとんど忘れてしまっていた太陽が、低い位置から柔らかくパリを包む。散りかけていた樹々の葉も動きを止め、みんながちょっと一息ついて、冬を忘れる日曜日の午後。窓から差し込む日差しを体に感じながら、週末のだらだらブランチを楽しむ。

atomoルーヴル美術館のしっぽの向かい側にある「フュモワー」は、アペリティフの時間に時々使う。手前の方の席で、新聞や雑誌を読みながらマルティニをすすり、のんびり人を待つもよし。一番奥の本がぎっしり並んだサロン風の部屋で、皮のソファに身を投げ出し自分の持ってきた本を広げて(フランス語や英語の本は、読むの辛いからね、、、)、ビスケットとお茶を前に、ゆっくり時間が過ぎるのを楽しむのもいい。

atomoもっとも、競争率の高いこのコーナー、なかなか座れることがないんだけどね。いずれにしても、約束の時間よりたっぷり30分早目に行って、なにかを読みながら過ごすひとときが大好きだ。今日はここのブランチ初体験。
「12時からと14時から、どちらがいい?」との応対に、
「2回転もさせるの〜?」とびっくりしながら、正午に予約。

12時ジャスト。まだまだ人の少ない「フュモワー」に到着。優しいお姉さんが、「あっちがいいわよね?」とにっこり笑って奥に連れていってくれる。わーい、ありがと、お姉さん。本に囲まれたサロンの真ん中のテーブルに落ち着き、ブランチ・カルトを眺める。

フレッシュ・ジュース、パン、自家製コンフィチュール、お茶かカフェ。それに、ホット・ディッシュを一つ選んで、デセールはパンケーキ。これで120フラン。さらに、ブラディー・マリーかミモザをつけると140フラン。セルヴィエットをひざに置き、さっそく、くすんだピンク色したパンプルムースのジュースをゴクリ。この季節のパンプルムースは、甘みと苦みと酸味がきれいに整って、大好きだ。独特の苦みに刺激され、一気に覚醒。

鉄瓶に入れられたやってきたお茶が美味しくなるのを待ちながら、ブリオッシュと田舎パンにフランボワーズのコンフィチュールをつけてパクパク。ん、うま。甘くリッチなブリオッシュも、パリパリの皮にしっとり中身の田舎パンも美味しい。どこで買ってるんだろう?作ってはないよね、まさか。透明感のあるオレンジ茶色のお茶は、アッサム系のブレンド?香りはないけどコクがあって好きよ、こういうお茶。

brunchのんびりお喋りを楽しんでいるところにホット・ディッシュの到着。エッグ・ベネディクト、ソモンとジャガイモ、ヴェジタリアン・ピッツアから、ピッツアを選んでみる。ちょっと厚めの生地の上には、トマトペーストと焼いたナス、モッツアレラ。その上に、塩を振ったルッコラがうわ〜っと乗っかってる。オイルがじっとり染み込んだナスの甘みが絶妙ね。ルッコラの苦みが美味しいよ。ぱっくんぱっくん、ぱくぱっくん。ごくごくごく。

おっといけない。デセールもあるんだっけ。セーヴしなくちゃ。ほんの少しお腹に余裕を残して、パンケーキを迎える。メープルシロップと、オーヴンで焼いたみかんが乗ったパンケーキ。美味しいけど、もう少しきちんと焼いてあればいいのにな。ちょっと生焼け気味のところがあるよ。今の季節、乗っているのはみかんだけど、これは季節ごとに変わるのね。夏は桃が乗ったりするのかなあ。いいな。

のーんびりだらーり、ブランチとお喋りを楽しんで席を立つ。入ってきた時には2、3組しかいなくてガラリとしていた広い店内は、すべてのテーブルが埋まり、いつもと違う、日曜日らしいのんびりした賑わいにあふれている。バーのところには、ウェイテイングしている人たちがいっぱい。「フュモワー」のブランチは、どうやらとっても人気者らしい。


sum.19 nov.2000



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