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グルマン・ピュスのレストラン紀行


シェ・ラミ・ジャン(Chez L'Ami Jean)

秋ですねえ。ジビエの季節ですねえ。9月のはじめに、「シェ・ミシェル」でグリーヴ(つぐみ)を、散弾を慎重に取り除きながら食べたのが、今シーズンのジビエ・デビュー。ちょっと間をおいた今日、本格的なジビエシーズンにいよいよ足を踏み入れる。

ジビエが目的ではなかったのだけれどね、今夜のゴハンは。お気に入りの人気ビストロ「ラミ・ジャン」に、テーブルが運よく取れたので、今夜はバスク料理を堪能!あわよくば、いまだかつて食べられた試しのないこの店のデセールを食そう!と思って、8時ピッタリで既に店の半席が埋まった「ラミ・ジャン」のあったかくて賑やかな空気の中に滑り込む。

パティシエをしている友達との久しぶりの再会もそこそこに、セルドンをゴクゴクやりながら、いそいそとカルトを吟味。バスク料理の気分で来たけど、うーん、ジビエたちがいい感じで自己主張してるねえ。今夜は、バスクよりもジビエが主かなあ。

バスク版ラタトゥイユに落とし卵を乗せたピペラードアントレは、「ブーダンのサラダ」。好き、ブーダン♪ちょっと内臓の匂いがきつめだけれど、まあまあ美味。好きなの選んでいいよ、という友達に取らせた「落とし卵のピペラード風」は、赤ピーマン煮込みに卵を乗せてバイヨンヌハムを添えた、正統派バスク料理。ココットに入ってかわいいし味もマイルド。こっちの方が好みかも。

鹿のトロトロ煮込みにピュレをあわせた、鹿のパルマンティエプラは、一目見て恋に落ちた、「シュヴルイユ(鹿)のパルマンティエ」。トロントロンに煮込んだ鹿肉に、この店の傑作であるジャガイモのピュレを乗せた一品。文句のつけようがない。けど、鹿の味がやっぱりちょっと強い。この店、全体的に野趣味が強いので、気持ちひるんでしまう料理があるのだけれど、これもそちら系。おいしいんだけどねー。シュヴルイユ少々にピュレたっぷり、という食べ方にしてちょうどいいくらいかも。

と言うわけで、当然私に割り当てられたピュレはあっという間になくなってしまい、友達の仔鹿ちゃんのロティ。繊細な肉にイチヂクの甘味がよくあうビッシュ(仔鹿ちゃん)のロティについてきたピュレを奪ってパクパク。私のピュレ好きを知っているセルヴール氏は、「ピュレ、お代わりしてもいいんだよ、遠慮しないでね!」と言ってくれるけれど、たまには私もわきまえる。友達のピュレを略奪してちょうどお腹がいっぱいになったので、今夜は品よくピュレのお代わりを遠慮してみる。

付け合せ。たっぷりピュレとニンジンの煮込みついでに味見したビッシュちゃんは、淡白な肉質が愛らしく、イチヂクの甘味とピッタリ。でもやっぱり、インパクトが強いなあ。体調悪いわけではないのだけれど、ちょっぴり、肉負けしてしまう今夜のゴハン。

そんな状態なので、もちろんおやつを食べる気力もなく、今夜もまた、デセール?ノン・メルシ、、、。いったいいつになったらここのおやつを食べられることやら。

次に来るときには、やっぱり正統派バスク料理を堪能しようね。大好きなレストランなのに、気合入れて立ち向かわないとコテンパンにやられてしまう、なんとも不思議な店。テンポよいサーヴィス、賑やかな喧騒、おいしい料理と、とってもいい感じにまとまったレストラン。今度は殴られずに、優しくなでてもらえますように。


ven.29 oct.2004



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